2009年5月18日月曜日

大阪へ

 8時から益子町内を回って土祭の会場となる場所をチェック。9時に役場へ戻って法師人副町長に挨拶。9時30分から益子町長の大塚朋之さんと打合せ。studio-Lがどんな仕事をしているのか、市民が行政サービスに参画する意義は何か、土祭をどんなものにしたいのか、などについて意見交換する。実感したことは、若い町長はその存在だけで多くの可能性を与えてくれるということ。土祭をきっかけに、役場職員の結束力と益子町に住む人たちの参加力を高めて、「次につながる祭」をサポートしたいと思う。

 益子町から東京へ移動して、12時30分ごろに平賀達也さんの事務所「ランドスケープ・プラス」にお邪魔する。平賀さんとは初対面。マルモ出版の尾内さんが紹介してくれた。同じくSGKの熊谷玄さんも紹介していただき、ランドスケープ・プラスのスタッフである小林さんと村瀬さんを交えて6人で「これからのランドスケープデザイン」について語り合った。語り合った場所は、ランドスケープ・プラスの事務所近くにある公園の芝生の上。平賀さんがサンドイッチとピクニックセットを準備してくれたので、とても開放的な気分で開放的な話ができた(感謝)。ここ3年ほど、手探りでstudio-Lが進めてきたことが、実は同世代でランドスケープデザインを志す人たちにも共感してもらえるものだったということが、驚きであり喜びであった。「風景をデザインする人」などという不遜な肩書きを掲げるランドスケープデザイナーは、きっと見せかけの風景を美しく装飾するだけの職能ではないはずだということ。風景というのは、とりもなおさずそこで生活する人たちの活動が結果的につくりだす様相の積み重ねだということ。そうであれば、花や木を植えるだけで風景の見栄えを良くすることだけがランドスケープデザイナーの仕事ではないということ。生活する人たちがつくりだす風景に少しだけ関わるとすれば住民参加という手法は無視できないということ。そんなことをみんなで確認しあえたことは大きな収穫だった。

 15時からは赤坂の博報堂にて筧さんと打合せ。生活総研の古澤直木さんと斉藤竜太さんを紹介してもらう。これまで進めてきた震災+デザインの展覧会も終わり、ひと段落したところで次の企画などについて話し合った。6月頃には震災+デザインの経緯をまとめた本がNTT出版から発売される。それを契機に震災+デザインはさらに発展させていく予定だが、今年は少し違ったフレームで新しいプロジェクトを立ち上げようということで合意。また、大学と共同して人口減少社会の要請に応えるデザインプロジェクトも立ち上げようということになる。結果的に、①震災+デザインの発展版プロジェクト、②新たな課題に取り組むプロジェクト、③大学と共同するプロジェクトの3つのプロジェクトを動かすことになりそうだ。ますます楽しくなりそうだ。が、僕も筧さんも片方では博士論文を仕上げなければならない。新型インフルエンザで経済活動が麻痺している今だからこそ、論文作成に勤しまなければならない、との共通の意思を確認し合って打合せを終えた。

 19時からは品川にてumariの古田秘馬さんと打合せ。共通の知り合いである建築家の西田司さんから間接的に古田さんの活躍は耳にしていたし、そのほかにもネットで調べ物をしていると「やるなぁ」と感心するプロジェクトに古田さんが関わっていたりして、前から一度ゆっくり話をしたいと思っていた人だ。古田さんとは、医療と食料と教育の問題を結びつけて新しいプロジェクトを生み出すことの重要性や、こうしたイシューがこれからの社会で最も求められるはずだということは誰もが感じ取っているにも関わらず、ここの領域の専門家しかいないので相互に結びつくことがないという問題点などを共有した。健康や福祉や医療については専門家がかなり検討しているものの、それを食べ物の点から解決しようとして農業に切り込む人がいない。環境学習に取り組む人はいても、それを医療と結びつける人がいない。どんな農作物をどのように育ててどう流通させてどう食べれば、健康によくて環境にいいのか。医療と食料と教育の3つを結びつけるプロジェクトを小さくてもいいので少しずつ進めていきたいと思う。まずは古田さんが6月末にオープンさせる六本木の農村カフェで、海士町や家島町で採れた野菜や魚を販売してみるなど、試験的なコラボから始めてみたいと思う。古田さん曰く、六本木の農村カフェは幕末の寺田屋や池田屋のように志士が集まる場所にしたいとのこと。実際、古田さんの仲間には木戸さんという桂小五郎の直系五代目がいるということで、帰る直前になって幕末の話で大いに盛り上がった。

 帰りの新幹線はガラガラ。インフルエンザの感染者が加速度的に増えているこの時期、東京から京阪神へ向かう人は少ないということを実感する。新幹線内でメールをチェックしていると、ランチをご馳走になった平賀さんからも幕末の志士のように共闘しようぜ、というメールが。僕の幕末ブームがますます加速しそうである。

撮影:ランドスケープ・プラス

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