2009年5月17日日曜日

益子へ

 10時から千葉県市川市にて雑誌『ランドスケープデザイン』の鼎談企画によりランドスケープデザイナーの廣瀬俊介さんと長谷川浩巳さんと話をする。廣瀬さんのアプローチは、イアン・マクハーグとローレンス・ハルプリンの手法を重ね合わせたようなもの。地域の生態的な関係性や人文的な関係性を丁寧に紐解き、それをGIS上で重ね合わせるとともに(マクハーグ的アプローチ)、アイレベルで見える風景の構造をスケッチとコメントで明確化することによって「風景の成り立ち方」を住民の人たちと共有する(ハルプリン的アプローチ)。もちろん、アイレベルでのスケッチやコメントはGISによる広域的な風土の特性と関係したものになっている。これによって、風景を読み取ること、自然条件や人文条件を考慮したプランニングを進めること、そのプロセスに住んでいる人を巻き込むことなどが可能になり、まさにランドスケープデザインの模範解答が生まれる。こうしたアプローチを地道に進める廣瀬さんは、とてもまじめな人であり、真剣な人であり、正しい人だという印象を受けた。そんな廣瀬さんだからこそ、今の大学教育に対する不満もあるだろうし、今のランドスケープデザイナーの仕事に対する不満もあるだろう。しかし、自分の仕事を外部要因のせいにして言い訳しない廣瀬さんの態度はとてもすがすがしいし、見習うべき生き方だと感じた。

 その後、東京から益子町へ移動。17時からスターネットの馬場浩史さんに会って秋に予定している「土祭(ひじさい)」に関する打合せ。馬場さんと会うのは2度目だが、とてもおおらかな笑顔で迎え入れてくれる暖かい人で、こんな大人になりたいなぁ、と思うような人である。焼き物のまち益子町において、焼き物だけでなく農業や林業など、「土」に関わる人たちがつながることのできる祭をプロデュースしている。益子町役場の職員や住民が参加して、アーティストなどと協働しながら祭をつくりあげていくという趣旨から、僕たちも参加の枠組みづくりに参加することになった。すでにstudio-L Tokyoの岡崎エミが先行して益子に入り、土祭のフレームなどをつくりつつある。今後は大阪からも西上ありさが参入し、チームビルディングや運営マニュアルづくりなどを役場職員や住民などと一緒に進める予定だ。

 18時からは、宿に入って役場の人たちと懇親会。益子町役場の産業観光課の三宅課長、吉村課長補佐、加藤係長、板野主任、水沼氏とともに、益子のまちづくりや土祭に対する想いなどを共有した。このときの食事はスターネットがつくって配達してくれた。これまでに見たことも味わったこともないような料理ばかりで、かなり楽しむことができた。特に、土地で採れた新鮮な野菜をつかった料理は、「素材の味を活かす」というステレオタイプなコンセプトが、しかし信じられないほどの力を持つということを実感させてくれるすばらしいものだった。また、役場の吉村課長補佐が自宅で手打ちしてくれた蕎麦もまたとても美味しいもので、これなら何度でも益子へ来たいと思わせる味(と人柄)を堪能させてもらった。

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