2009年2月23日月曜日

雑記

朝から新幹線にて東京へ移動。

10:00から、本郷にて東大の橋本憲一郎さんとお話する。先日、橋本さんと山中新太郎さんが出版された『まちづくりのアイデアボックス』についていろいろお聞きする。この本は、これまでまちづくりの文脈では使われなかった用語や引用が多く盛り込まれていて、まちづくりに関する議論で使える「新しい言葉」をたくさん教えてくれる。特に、1970年代に建築をつくるために黒川紀章さんや磯崎新さんが引用していたニューサイエンスや哲学や社会学や民俗学や数学の言葉を、まちづくりへと援用している点が興味深い。かつて、単体の建築をつくる際の論理として援用していたさまざまな知見のうち、いくつかの概念はまちづくりの論理としても応用可能だということを教えてくれる。これが僕にとってもっとも新鮮だった点だ。この本によって、建築とまちづくりにおける論理構成の類似性を明確に理解することができた。

12:00から、同じく本郷にて東大の南後由和さんとランチミーティング。以前お会いした際にはなかなか話ができなかったシチュアシオニストやルフェーブルの話を楽しんだ。南後さんは、アンリ・ルフェーブルの理論から入って、シチュアシオニストに興味を持ち、さらにコンスタント・ニーベンホイスを調べるうちに、アルド・ファン・アイクやヨナ・フリードマンやセドリック・プライスに興味を持つようになったという。僕はまったくその逆で、当時流行っていたレム・コールハースに興味を持って、その思想を追いかけているうちにロシア構成主義、セドリック・プライス、ヨナ・フリードマン、チーム10などに興味を持ち、チーム10のなかでも理論派だったアルド・ファン・アイクに興味を持ち、その友人だったコンスタント・ニーベンホイスが気になって調べるうちにシチュアシオニストを知り、その理論的背景を担っていたアンリ・ルフェーブルに行き着いた。社会学と建築学を結ぶ線のうちの一つを、お互いに両端から辿ってきたんだな、という気がした。

14:00から、東大にて国土政策研究会のミーティング。最終報告書の構成とその内容について議論した。また、最終報告会へ向けてのプレゼンテーション内容についても確認した。報告会は3月3日。とても楽しいメンバーと一緒に研究会を進めることができた。それぞれの専門分野が少しずつ違うので、議論するうちにいろんなことを学ぶことができた。誘ってくれた大阪市立大学の瀬田史彦さんには大変感謝している。研究会の帰り道、東北大学の姥浦道生さんと「ぜひともこのメンバーで、引き続き研究会を続けたいね」という話になった。来年度もぜひ、みんなと研究会を開催したいものである。

18:00から、赤坂の博報堂にて筧裕介さんと「i+d workshop」の打合せ。東京ミッドタウンでの展覧会の準備、出版原稿のチェック、次年度の計画などについて話し合った。筧さんは社内でプロジェクトを位置づけるのがとてもうまい。社内のキーマンを味方につけて、プロジェクトを有利な方向へ導くだけでなく、一緒に仕事をするチームのメンバーもうまく集めてくる。こういう人がいるから、プロジェクトがぐんぐん前へ進むんだということを実感する。来年度も引き続き面白いことを一緒に進めていきたいと思う。

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