2008年8月19日火曜日

i+d workshop のこと



このたび、studio-Lは博報堂と協働して「issue + design workshop」を立ち上げることになりました。
デザインの力で社会的な課題を解決しようという学生が集まるワークショップであり、同時にコンペ形式の提案をつくりあげるプロジェクトです。

最近は特に、「今日新しいものを明日古くする」ためのデザインが多く、新しいデザインは人々の興味を惹くため、購買意欲を高めるためだけに消費されているような気がします。そもそも「Design」は、「De=sign」であり、新しいカタチを示すだけのサインから抜け出すという性格を持った表現行為だったはずです。ところが、デザイン=新しいカタチ=オシャレ=消費という連鎖があまりに強い経済的結びつきを持ったために、建築雑誌をはじめとするメディアのほとんどが差異化のためのデザインを繰り返し紹介することになっています。さらに、こうしたメディアを通じて「デザイン界」を頭の中に作り上げる学生たちにとっては、社会で働くフィールドは消費社会型デザイン業界しか存在しないという錯覚に陥ってしまうことがあります。

ところが、デザインのフィールドは消費社会の反対側にも大きく広がっています。売れるためのデザインではなく、社会の課題を解決するためのデザイン。そんなフィールドが世界にはたくさん広がっているということを、現役の学生たちに知ってもらいたいと思って立ち上げたのが今回のプロジェクトです。

日本ではあまり紹介されませんが、世界には福祉や教育やホームレスや難民や戦争や病気など、いろいろな社会問題に取り組むデザイナーがたくさんいます。残念ながら、この人たちの仕事を紹介する雑誌を発行しても儲からないという理由だけで、この種の情報が日本国内にほとんど入ってきません。本プロジェクトでは、できるだけこうした世界での動きを紹介するとともに、デザインの社会性や社会の課題を解決するために果たすべきデザイナーの役割について考えたいと思います。また、同時に特定のテーマに対する自分たちの提案をつくりあげることによって、社会的な課題を解決する自分なりのデザイン手法を身につけてもらいたいと考えています。

第1回目となる今年のデザインテーマは「震災後の避難生活をデザインする」。日本を始め世界各地で頻発している自然災害。こうした災害後の避難生活にはさまざまな課題が内在しています。こうした課題を見つけ出し、課題の問題構成を明らかにし、デザインによって解決策を探るというのが今年のテーマです。

僕が学生だったらこんなワークショップに参加してみたかったな、というフレームに基づいて今回のプロジェクトのスキームを組み立ててみました。具体的には以下のような「あったらいいな」に基づいたプロジェクトです。

・提案内容が認められれば全国各地で発表させてもらえる。
・そのたびに各地(神戸や福岡や東京)を旅行させてもらえる。
・同じような想いを持った日本中の大学のいろんな専門分野の学生と知り合える。
・自分たちの活動や作品が書籍として出版される。
・最後まで勝ち進めば、提案を商品化してもらえる可能性がある。
・有名デザイナーのアドバイスを受けながら作品をブラッシュアップする機会が与えられる。

プロジェクトの第1回は9月28日(日)です。交通費支給の関係により定員制のワークショップになりますが、より多くの学生からの参加を期待しています。申し込みは9月5日まで。
2名1組のチームにて応募してください。大学や学部を問わず、コンビを結成して応募することが可能です。

詳しくはこちらをご覧ください。
たくさんの応募をお待ちしています。

山崎

i+d workshop とは



地球温暖化、貧困、人種差別、自然災害、少子高齢化等等、2008年現在、日本、世界、そして地球は、様々な社会的問題を抱えています。デザインには、本来、問題の本質を一挙に捉え、そこに調和と秩序をもたらす力、美と共感で多くの人の心に訴え、アクションを喚起し、社会にムーブメントを起こす力があります。すなわち、デザインには社会問題を解決する力が備わっており、デザイナーは社会問題の改善者となりうるのです。本プロジェクトではそんなデザインの力で社会に貢献することを目的としています。
第一回目のテーマは「震災後の避難空間」。昨年、今年と日本・世界で大地震が頻発しています。地震大国日本のデザイナーは震災デザインという領域で世界をリードする人材になることが求められているのではないでしょうか。デザインの持つ無限の可能性を信じる若手デザイナーの積極的な参加をお待ちしております。

i+d workshop



◆募集要項

第1回issue+design workshop
震災後の避難生活をデザインする

主催 hakuhodo + design project (株)studio-L
後援 財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構 人と防災未来センター

大地震により居住地を失った300人が一箇所で避難生活を送っている状況を想定してください。避難という非日常空間では、食糧、医療、防犯、ストレス、人間関係等の様々な問題が生じます。それは時として、死という最悪の事態にもなりかねません。避難生活の中で起こりうる課題を明らかにし、空間、情報、人間関係などの視点から課題を解決するためのデザインを提案してください。

ワークショップ概要
■ 9月28日(日)神戸で行われるワークショップにて、震災と避難生活について学び、議論していただきます。
■ 10月31日(金)までにメールにてデザインを提案していただき、その中から独自性・実用可能性が高い10チームを選抜いたします。
■ 選抜された10チームは第一線のデザイナー、研究者などからのアドバイスをもとに、12月23日(火・祝)に福岡で開催される発表会に向けて提案内容をブラッシュアップしていただきます。
■ 発表会で最終的に選ばれた優秀3チームは、再度ブラッシュアップの後、2009年2月に東京の赤坂で開催予定にデザインワークショップに参加していただきます。アートディレクター・永井一史をはじめとする第一線のデザイナーおよび研究者との交流や議論を通じてデザインの完成度を高め、ワークショップの最終成果とします。

応募資格
■ 社会問題の解決に強い意識を持っている学部生・大学院生
*デザイン系学部以外にも、工学、経済学、法学、農学、社会学など多様な学部・研究科からの参加をお待ちしています。
■ 応募は2名1組であること。
■ 応募者は2名ともに、2008年4月1日時点で35歳以下の大学生・大学院生であること。
■ 応募者は9月28日に神戸で行われるキックオフワークショップに参加可能であること。
■ 応募者は10月31日までに「避難生活」に関するデザインアイデアをメールで事務局へ送付できること。

募集チーム数:25チーム *応募多数の場合、お送りいただいた課題により選抜させていただきます。
応募締め切り:9月5日(金)
応募登録方法:以下のE-mailアドレスに以下の必要事項をご記入ください。
送付先:1st-earthquake@h-plus-design.com

記述事項(2名分を記載ください)
氏名・年齢・所属大学/学部・研究科/研究室/専攻
課題1:あなたが考えるデザインとは、デザインの持つ力とは何でしょうか?(100字程度)
課題2:あなたが考える震災後の避難生活で生じている課題とは何でしょうか?(400字程度)

ワークショップ参加特典
■ 各ワークショップと発表会に開催地以外からご参加いただく場合には、交通費および宿泊費実費を支給いたします。
■ 優秀3チームは東京赤坂で開催予定のワークショップで、永井一史をはじめとした第一線のデザイナーや研究者と交流できます。
■ ワークショップ内容は2009年春に出版予定です。選抜10チームのデザイン案は氏名とともに相当数のページでご紹介します。

問い合わせ先
(株)studio-L tel:06-4965-4717 mail:1st-earthquake@h-plus-design.com

後世への最大遺物

半農半Xの塩見さんがよく引用する内村鑑三という人の「後世への最大遺物」という本を読んでみた。すがすがしい気分になる内容である。最近、ずっと考えている「社会企業家」、あるいは「社会建築家」という生き方についてのヒントがたくさん含まれている。

この本の主題は、「自分が死んだ後に何を遺したいのか」というもの。自分を育ててくれたこの国、この地球に対して何も遺さずに死んでしまいたくない、という内村氏は、何を遺すべきかを真剣に考える。内村氏が引用する天文学者のハーシェルも同様の言葉を遺している。つまり「わが愛する友よ、われわれが死ぬときには、われわれが生まれたときより世の中を少しなりともよくして往こうではないか」と。

少しでも社会をよくするために何を遺すべきか。遺すべき意義のあるものはひとつではないだろう。ひとつは金だ、と内村氏は言う。意外な答えかもしれない。ただし、単に自分の家族のために遺す遺産というわけではなく、社会のために残す金は尊いものだという意味である。社会が少しでもよくなるために使うことのできる金を遺して死ぬこと。そのために必要な能力は2つある。ひとつは当然、金を生み出して貯める能力。もうひとつは、それを意味のあることに使う能力。この2つの能力が兼ね備わっていないと、結局お金がうまく貯まらなかったり、貯まったのに私利私欲のために使ってしまったり、遺産相続の争いを起こしたりしてしまう。明治期の林学家で億万長者になった本多静六氏などは、この両方の能力を備えた人だったのだろう(誰にも知られず、全財産を社会的な事業へこっそり寄付するあたりがうまい)。

もうひとつ、遺す意義のあるものがある。事業である。金を遺す能力が無いとしても、その金を有効に使うための正しい事業を遺すことができれば、世の中は少し良くなるだろう。社会をよくするための事業を遺すことは、金を遺すことと同じくらい重要なことだといえる。社会企業家の取り組みも、社会的事業という意味で遺すに値するものだ。

金を貯めることも事業を興すことも難しいとすれば、思想を遺すことを目指せばいい。思想とは、後の人に事業を興してもらうための起爆剤だといえる。思想を文字にして遺すこともできるし、後進を教育することで若い世代に思想を伝えることもできる。文学として遺すか、教育として遺すか。いずれにしても、自分の思想を文学か教育として後進に伝えることによって、託された人たちが意義のある事業を興してくれる可能性がある。

以上、金と事業と思想のいずれを遺したいのか。僕たちはそのことを考えながら自分の人生をデザインしたいものである。

が、内村氏に言わせると、これらはいずれも「最大の」遺物ではないという。いずれも重要な遺物で遺すべきものではあるのだが、最大遺物とは呼べない。最大遺物とは、金を遺すことでも、事業を遺すことでも、思想を遺すことでもなく、困難に打ち勝って意義深い人生を歩んだ「生き方」を遺すことだという。今置かれた状況からどれほどジャンプアップして意義深い人生を歩むことができたか。結果的に遺すことのできたお金が少なくても、小さな事業しか興せなくても、数人にしか広がらない思想しか遺せなくても、もともとおかれていた立場からどれほど果敢に抜け出して、克服して、戦って、価値ある人生を手に入れたか。その伸び幅こそが後世に生きる人を奮い立たせ、勇気付け、希望を持たせる最大の遺物だ、と内村氏は結論付ける。

逆に言えば、自分の置かれた現状が困難であればあるほど、そこからの絶対値は大きくなる可能性があるというわけだ。聡明な思想家が遺した思想もすばらしいが、恵まれない状況でありながらもその思想を遺したという生き方自体は僕たちをよっぽど勇気付けてくれる。巨額の金を社会のために寄付するという行為も大したものだが、貧乏な家に生まれて努力して努力して努力して巨額の金を蓄えたその人の人生こそが僕たちを奮い立たせてくれる。こうした「高尚なる人生」こそが、努力次第で誰もが遺すことのできる最大の遺物である、というのだ。

僕の生き方は、後世の人が眺めたときに奮い立つような生き方になっているだろうか。勇気を与えるような生き方になっているだろうか。金も事業も思想も、遺せるものはできるだけ後世に遺したいと思うのだが、遺し方のプロセスを追体験した後世の人たちを沸き立たせるような人生というのもまた、魅力的な遺物である。

2008年8月17日日曜日

人口が減ることと幸せな生活

日本の国内総生産が減少すること、あるいは経済成長がマイナスになることには、負のイメージが付きまとう。確かに、人口増加時代にGDPが減少したり経済成長が鈍化したりすることは不安を煽る。人口が増えているのに全体としての収入が減っているように感じるからだ。しかしこれからは人口減少時代。人口が減少するのだから、全体としての収入が減るのは当たり前だ。GDPが減少したり成長率が鈍化することに憂いを感じる必要はない。むしろ、1人あたりのGDPがどうなっているのかのほうが重要だろう。

さらに言えば、1人あたりのGDPが減っていても、少ない収入で幸せに暮らす方法を体得した人が増えれば問題はない。広告に煽られて、本当に必要なものかどうかを自分で判断せず、流行のモノや新しいモノを買わされ続ける生活は、常に「アレが買えないから不幸だ」「あそこへ旅行にいけないから不幸だ」という気持ちに苛まれる。これでは、一人当たりのGDPが増えようとも、幸せな生活を送れる人はなかなか増えないだろう。国民総生産(GNP)よりも国民総幸福感(GNH)を重視しようとするブータンの政策に学ぶことは多い。

『日本縮小:ダウンサイジング社会への挑戦』には、以下のような記述がある。「環境への負荷や土地の制約を考えれば、量的な縮小はプラスかもしれない。しかし、売り上げ増を追求する企業や、人口増が繁栄と考える自治体が依然、多数派だ。前向きな縮小とは何か、条件を探る必要がある」。

2008年8月16日土曜日

会ってみたい人(太田満保さん)

島根県の旧平田市の市長だった太田満保さんは、人口減少社会に対して冴えた発言が目立つ。

・全国的にも人口減は避けられない。行政の最大の課題は、人口減のデメリットを恐れず、逆にメリットを引き出していく行政や社会のモデルの創造を競い合い、成熟社会への道筋を切り開くことになる。

・衰退の恐怖を背にした、定住人口の確保という呪縛は解くべきだ。

・人口が減る地域で人口を減らすまいと努力するのは砂山を作っては壊すようなもの。(中略)しかし、それを簡単に否定もできない。

平田市は2002年に市の基本構想を作った。宍道湖など水辺の環境保全や昔からの景観維持、地域単位の教育や福祉の支え合いを通じ、田舎の価値を再評価しようという内容である。人口が減るなかでも豊かに暮らすための地域づくりを模索していたのだろう。2005年に出雲市と合併してしまったが、単独行政の道を選んだとしたら、平田市がどんなまちづくりを展開したのか見てみたかった。

その後、太田満保さんは島根県知事選に出馬するが、惜しくも次点。市長在任中の1993年には4人将棋を発明するなど、なかなかユニークな市長だったようだ。今は何を考え、何を実行されているのか。一度お会いして話を聞いてみたい人である。

2008年8月15日金曜日

海士町の総合計画

海士町の総合計画のことを考えながら、朝日新聞社経済部が編集した『日本縮小:ダウンサイジング社会への挑戦』を読んでいると以下のような文章に出合った。

・日本全体が右肩上がりの人口増加を続けた高度成長期にも、農村部は激しい過疎の波に襲われた。その反動もあって、70年代以降は「国土の均衡ある発展」の名の下に、日本中の地域が人口増と地域経済発展の夢を追い続けた。しかし、全体の人口が減る中では、全部の地域の人口が増えることは望めない。

・90年代後半以降、多くの地域が長期計画などでの人口の将来見通しを減少に切り替えてきた。市町村レベルではまだ、「増加」の期待を持ち続けているところも多いが、県単位ではあまりにも現実から離れすぎるため、実態を勅旨する姿勢に移らざるを得なかったようだ。とはいえ、自らの地域の将来像を描ききれているわけではない。高度成長期以後の地方経済は、製造業の工場誘致による繁栄を目指し、バブル崩壊後にそれが立ち行かなくなると公共事業への依存を深めてきた。全国的な人口減少下でその図式が今後も可能かどうかの疑いは深まっている。出生率を上げ、流出も止めることで少しでも減少を食い止めるのか、それとも減少を受け入れたうえで新しい工夫であかるい青写真を描きうるのか。悩みは深い。

・東京郊外の埼玉県志木市。「市町村長の廃止」といった斬新な構造改革特区の提言などで知られるこの市が03年2月にまとめた「地方自立計画」はその基底に厳しい人口見通しを置いている。65歳以上の人口比率が01年の12.3%から11年には20%に、16年には24.7%と急伸し、税収減と社会保障関係支出の増大などで急速に財政が悪化する、というシミュレーションである。同市ではこの難局を乗り切るために、職員の新規採用の20年間凍結と市民が社会貢献として公務を担う「行政パートナー」の仕組みを採り入れるなど、行政サービスを極力低下させずに「小さな自治体」を実現する方途を模索している。

いずれも、海士町をはじめ全国の市町村における長期計画を立てる際に重要な視点だ。都道府県でもいまだに将来の人口推計をマイナスにしたがらない担当者がいると聞く。市町村については、多くの場合がんばればまだ人口が増えると期待している。長期的に人口増加を保つことができる魔法を知っているのであれば話は別だが、そうでなければ仮に一時的な人口増加を達成したところでいずれは人口減少社会を体験することになるだろう。そのときになって慌てることになるとしたら、それは問題の先送りでしかなかったということだろう。それよりはむしろ、人口減少下で幸せに暮らす方法を自分たちで発明するという態度が望ましい。志木市の「行政パートナー」という仕組みはすばらしいものである。この仕組みが実現したのか、実現したとしたら課題はどんなものなのかについて調べてみたい。

2008年8月13日水曜日

雑記

午前中は、スタジオにて博報堂の筧さんと小塚さんとでi+dの打合せ。第1日目のプログラムがほぼ見えてきた。参加する学生の応募も少しずつ増えてきている。

夕方から、京都造形芸術大学の水野先生と打合せ。後期のこども芸術学科の講義をどう進めるかについて話し合う。なるべく屋外で授業を進めることで一致。屋外にあるものをつかって自分の身の回りの環境を体感しながら表現することを目指す。

夜は学芸出版で打合せ。ランドスケープデザインの歴史についてまとめる書籍の目次構成や各章の内容について話し合う。年代をどう分けて、分けた年代のなかで作品をどう説明するのかが難しい。作家はコラム的に扱うことで合意。施設タイプごとの歴史もコラムとして扱うことになる。

今回こそは、締め切りを守って執筆するという覚悟が必要である(汗)。

2008年8月11日月曜日

暑苦しくてすみません。


大阪は、毎日暑いです。studio-Lも熱いです(蒸)
ARCHITECT TAITAN のさわやかな暑中見舞いに比べて、暑いのに暑苦しい写真で申し訳ないと思いつつ。。。
日ごろお世話になっているみなさまへの暑中お見舞い申し上げます。
まだまだ暑さも続きます。
みなさま、お体ご自愛ください。


西上ありさ

2008年8月9日土曜日

雑記

朝から島ヶ原へ。島ヶ原ではホヅプロ合宿中。現場は少数精鋭だった。少ない人数のほうがはかどるのかもしれないと感じた。つまり、プログラムを運営するための準備作業などが多くないし、ひたすら裏方という人もいなくていい。おかみさんの会も少人数のほうが準備しやすいだろう。

タイタンの河原さんと中川さんが現地へ来てくれていた。学生たちとともにタイタン棟の施工に立ち会う。

広場のテーブルと椅子のデザインをスタディする。直射日光を避けるために、穂積亨さんがご自身の麦藁帽子を貸してくれた。それをかぶりながら広場のテーブルと椅子のスタディ。テーブルは、ローテーブルにすることを決めるとともに、大まかな外形を決定した。オムスビ型の机が4つ誕生しそうだ。

ホヅプロの今後について澄子さんと相談。常駐できるスタッフを育てたい。一度、社会に出てプロジェクトマネジメント能力を高めた人で、ホヅプロ出身者が最適か。

夕方から、同じ建物に事務所を構えるゴウサイズの藤田さんと、アクタスの濱吉さんたちと、福島のザ・タワーにて食事会。淀川の花火を眺めるのに適した場所へ案内してもらう。とても贅沢な時間を過ごすことができた。

アクタスの濱吉さんとゴウサイズの藤田さんとで、ホヅプロをフィールドにした社会貢献事業をやろうという話で盛り上がる。さっそく、近いうちに実現させるための作戦を練るために打合せすることになる。楽しみなプロジェクトである。

2008年8月8日金曜日

雑記

午前中は兵庫県庁にて健康診断。生まれて初めて飲むバリウムは、それほどまずくは無いと感じる。脅されすぎたのか。

その後、ビジョン課の木南さんを訪問。この人は、常に面白いことをいろいろ考えている。ぜひ、いろんなことを一緒にやりたい人だ。優秀な行政マンだと思う人の一人である。また、本棚を眺めていて、読んでいる/読もうとしている本が似ていることに驚く。

なお、ビジョン課が進める「集落の元気事業」はすでに担当者が2名ついていた。ビジョン課の畑課長の行動力・実行力はすごいものである。今後とも、情報交換させていただきたい部署である。

夕方からは、スカイビルの積水ハウスで提供公園プロジェクトの打合せ。開発提供公園を意味のある空間にするためのフロー図を書くことで一致。また、秋ごろには具体的に学生たちとプログラムを実施してみる。そのときの実行部隊(学生)を集めて、そろそろ決起集会を開く必要がありそうだ。

2008年8月7日木曜日

雑記

午前中は東京駅近くの丸ビルにてバンタンの木村さんの取材対応。料理とランドスケープの相似点について話をする。
・健康やボリューム(用)と美味しさや美しさ(美)のバランスを考える点は、機能性と審美性という面でランドスケープデザインに通じるところである。さらにコスト面の話が入る点も共通している。
・デザインの上流へ遡るという点も似ているかもしれない。ランドスケープデザインでも、最近は住民参加や企画立案まで踏み込むデザイナーが増えている。同様に、料理の上流へ遡って、実際に野菜を生産したり、フェアトレードを実施したり、独自の農場で循環型/有機農業を展開する料理人が増えている。
・素材を活かすという点も共通している。どこで人の手を止めて、自然の素材を活かすか。すべてをデザインしきらない/すべてを調理しきらないという態度。

午後から東大にて瀬田さんとの打合せ。パークマネジメントか限界集落かについて相談する。やはり、当面はパークマネジメントを軸に論文を組み立てることにする。

夕方からは国土研究会の打合せ。地方財政についての勉強会を開く。講師は、地方財政の関連著書を多数出版している肥沼さん。非常にわかりやすい話で(すべての質問に的確に答えてくれるのがわかりやすい)、地方財政を理解することの重要性を実感。海士町の総合計画も財政計画の裏づけを取ることが重要であることを実感する。

また、財政課で長く働いた肥沼さんが、各課の施策を眺めた中で、特に大切だと感じたのが緑化だという話に心救われる思いがした。教育や福祉など、財政課から見れば重要な施策はいろいろあるように見えるだろうけれど、なかでもみどりの重要性を感じたという言葉を聞いて、パークマネジメントについて研究する必要性を感じた。

2008年8月6日水曜日

雑記

午前中は京都府綾部市へ。限界集落への対策として早かった「水源の郷条例」について、その担当者である朝子さんにヒアリングする。どこも悩みは同じようだ。人口減少、高齢化、放棄田、森林の荒廃、空き家や空き地、鳥獣害。日本中の集落が対応策を求めている。集落の問題をテーマに研究をする必要性を実感。HEMの研究成果は、必ず集落の人々にとっての参考になるものにすべきであると気を引き締める。

水源の郷条例は5年の時限条例。最終的には水源の森を使う事業が生まれることを期待している。が、現在のところは水源涵養の森や田畑に関する仕事を始める集落はなく、別のことを計画する集落が多いという(お菓子作りなど)。お菓子づくりが今後どのような活動につながるのか、動き始めた集落の活動が今度どう発展していくのかが楽しみである。

夕方から半農半Xの塩見さんを取材。落ち着いた静かな人だが、興味深い話が次から次へと飛び出す人。独り占めが嫌いな人なのか、何でも共有したがる。人間同士の共有もあるし、鳥や昆虫や雑草とも共有しようという考え方。稲を育てているのだが、それはすずめに食われても仕方が無いという考え方からネットをしない。自分の田んぼで実った稲穂も、ある程度はすずめに食べられても仕方が無いと考える。自分の蔵書も廃校になった小学校(母校)の保健室において誰でも参照できるようにしてある。独り占めしないという主義が、すがすがしいほど徹底されている。

自分が持っている力をすべてひとつの事業に注ぎこむこと。いろいろやるというのは力の分散になってしまうので、もったいない。テーマを決めたらそれに全精力を注ぎ込むというのが塩見さんのやり方は見習いたいところである。あれもこれもでは大成しない。何に絞り込むのか。そこが重要だと感じる。

2008年8月5日火曜日

雑記

午前中は、i+dの下見としてHEMの展示館へ。実は僕も展示館には初めて入る。思ったより充実した展示内容で、資料も豊富にあることを実感する。ワークショップにおける展示室関連プログラムの時間を長くしたほうがいいのかもしれない。

研究員の紅谷さんに話を聞く。震災後の避難生活に関する情報は豊富に持っている。自身の修士論文がまさにそのテーマ。ワークショップ当日に会場で話をしてもらうようお願いする。快諾をいただいた。

その後、展示の平林さんと打合せ。i+dで出てきた作品やパネルを展示する計画を立てる。いろいろ協力してもらえるという。かなり貴重なアイデアを聞かせてくれた。展示方法や展示場所についてもいろいろ提案してくれるという。頼もしい。

午後からは谷町にてNHKプラネットの赤沢さんと打合せ。その後、大阪府の公園緑地課にて村田工区長と打合せ。この人はとても活動力のある人だ。民間の人より効果的に、そして効率的に立ち回る。21世紀型の公務員だと思う。

夕方からは、大阪府みのお森町の小寺さんと打合せ。この人も行動力と意思決定力のある人で、問題の所在を明確に見抜く人である。大阪府の職員は優秀な人が多い。知事のアイデアをうまく着地させるべく、優秀な人たちが日々走り回っているという印象がある。僕たちと同世代の大阪府職員はどうだろうか。成長しているだろうか。村田さんや小寺さんのような行動力のある職員に育って欲しいものである。

2008年8月4日月曜日

雑記

HEMにて打合せ。来年度の体制がまだ見えない。僕の限界集落研究は今年度で担当が終わる。最終報告書をしっかり書き上げる必要がある。第一義的には兵庫県の職員の人たちにとって参考になる情報を入れ込んだ報告書にしたいが、少しでもいいから現場の集落で生活する人たちの役に立つ情報を入れ込みたいと思う。行政だけで解決できる問題はかなり少なくなってきている(やれることはすでにいろいろやっている)。集落の人たちとどこまで協力して作業を分担しながら行動を共にすることができるか。そこが重要になるだろう。多くの人のアイデアが必要なので、集落の人たちだけでなく、都市部に住む人のアイデアも求められる。当然、すべてが解決できるわけではないので残された課題は多くなるが、来年度以降の研究にその方向性を託したいと思う。

来年度の研究体制がどうなるのかはわからないのだが、個人的には現所長の林敏彦先生の下で引き続き研究したい。林先生の発想は、僕にとっていつも新鮮である。経済学者の発想なのか、林先生の個性なのか。僕が建築分野内部での議論に慣れてしまっているのかもしれないが、林先生の話を聞いていると世の中で大切なことが何なのか、何に税金を使うべきなのかを、建築だけでなく、福祉や教育や産業などすべて同じ土俵の上で話が出来ているように思う。われわれはついつい建築分野の話ばかりを重視してしまうのだが、その偏重を正すためにも林先生の近くで研究できる時間が欲しいと思う。来年以降もHEMにて、林先生の研究所の所員として限界集落の問題に取り組むことができれば幸せなのだが。。。

夕方からオープンデスクの川崎くんが来社。一度働いた経験のある京都大学大学院博士課程。頼もしい人材である。スタジオの仕事がとても奇異に見えたのだろう。どういう仕事をしているのか、どうやって事業をマネジメントしているのか、どうやって仕事をつくりだしているのか、などを学びに来たという。僕らが持っている情報はなるべく共有して、社会的な課題の解決に一緒に取り組みたいと思う。

2008年8月1日金曜日

島根県隠岐郡海士町の名物宿。

地方担当の西上です。
島根県隠岐郡海士町で総合振興計画策定のために9日間ほど滞在していました。


帰り際に海士町の名物宿である「たじま屋」さんから美味しいお土産を頂きました。
蓋を開けると・・・


そこは海士でした(感動)
磯の匂い~。サザエが生きてる~。


サザエ、ワカメ、モズクがどっさり(さらに感動)


サザエは、お刺身とつぼ焼きに(取り出すのに悪戦苦闘・・・)


モズクは、お味噌汁とモズク酢に。

大阪に帰ってきたのに、海士を堪能した素敵な夕食でした。
たじま屋のみなさま、ありがとうございました!

海士町へ行かれる方は、ぜひ「たじま屋」さんへ。
http://futamatamaru.com/tajimaya/top/hp-top071017