2007年8月20日月曜日

出前授業

午前中は海士中学校の先生方と打ち合わせ。出前授業の内容などを説明するとともに、中学校内部を見せていただいた。

午後から全校生徒を集めて出前授業。講師の西上を中心に「中学校を使いこなそう!」というテーマでワークショップを行った。出前授業のコンセプトは「サステイナブル」。持続可能であることをどのように中学生へ伝えるのか。

エコだったり持続可能だったりすることは、別に学校をエコなものに改修したり、ソーラーパネルや風車を設置したりしなければ達成できないことではない。第 一に、今使っている学校をどれだけ長く使い続けることができるのか。このことがエコでありサステイナブルにつながるのである。それは学校建築というハード な面に起因することではなく、学校を使っている生徒や教職員に求められるスキルに起因することである。つまり、少々不便な点があったとしても、学校を使い こなすスキルさえ身につけていれば、その都度アイデアを振り絞ってうまく使いこなすことができる。乗り切ることができる。その繰り返しが、結果的に建築物 を長持ちさせ、解体にかかる費用やエネルギーを省くことにつながり、新築したり改修したりする費用やエネルギーを省くことにつながる。そう考えた。

そのスキルを少しでも高めてもらおうと、中学生たちをチームに分けて学校内を歩き回って、普段の使い方とは違う使い方を提案してもらった。「こんな風に使えるんじゃないか」というアクションを写真に撮って、それを発表し合うのである。

中学生たちは、普段使っている学校を別の方法で使いこなすということで、最初は戸惑っていたが、どう使っても先生からお咎めがないことを確認するとさまざ まに使いこなし始めた。運動場に倒してあるサッカーゴールのネットをハンモック代わりにして昼寝する生徒や、廊下をボーリングのレーンに見立てて遊ぶ生 徒、階段の踊り場に恋人と2人きりで話合える場所を作る生徒、屋上に椅子を並べてサンデッキを作る生徒。実にさまざまな「使いこなし方」が見られた。

サステイナブルやエコロジカルという言葉を使って新たな公共事業を生み出そうとする動きがある。このこと自体の是非を問うつもりはないが、専門家が「至れ り尽くせり」なデザインで解答を与えることによって、利用者を「いつも誰かがそれを解決してくれるだろう」という他人任せな態度にさせてしまうのは良くな い。ましてや中学校をエコロジカルに改修するにあたって、中学生までを「他人任せ」な人間に仕立て上げてはまずい。まずは自分たちが学校を使いこなすこ と。そして「この学校はこのままでもまだまだ使える」という意思を表明すること。使う側のスキルを上げることなく器だけを新調しても、数年後には同じ問題 が表面化するのだから。

山崎

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