2006年1月25日水曜日

「アーバンデザインとランドスケープデザイン」

書評を書いた関係で、訳者である日本都市総合研究所の加藤源さんに会う。加藤さんから、アーバンデザインの仕事についていろいろ教えていただいた。

ランドスケープデザインが描ける風景は、アーバンデザインによって規定されている。話を聞いていて、ふとそんなことを考えた。いろいろな事業メニューを組み合わせて、都市空間のなかで扱える公共空間を増やしたり連続させたりするのがアーバンデザインだとすれば、ランドスケープデザインはそうやって増やしたり連続したりしてもらった公共空間に風景を作り出す仕事だといえよう。つまり、アーバンデザインが風景を作り出す枠組みを作り出し、ランドスケープデザインはその枠組みの中に風景らしきものを作り出しているだけだといえよう。

もちろん、ランドスケープデザインが敷地外へ繋がる風景を描ききってしまうからこそ、アーバンデザインがそれを実行するために事業メニューを組み合わせるという手順もあるだろう。いずれにしても優れたアーバンデザインが無ければランドスケープデザインは絵に描いた餅だということがよく分かった。

問題は、これから都市が小さくなっていくときにアーバンデザインは何をすべきか、ということである。加藤さんにも明確な答えはないらしい。人口減少時代の都市におけるシュリンクポリシーをどう設定するのか。これはランドスケープデザインにも関係する問題である。またもやアーバンデザインが都市の縮小事業メニューを構築し、そのメニューの規定に沿ってランドスケープデザインは緑を増やすことだけに専念するのか。あるいは、その事業メニューを確立する場にランドスケープデザインが介入するのか。それによって、縮小される都市の風景はまったく違ったものになるだろう。

山崎