2004年12月17日金曜日

「活動の隙間」

夕方からコモンカフェで開催された「第2回けんちくの手帖」にナビゲーターとして参加する(そういえばコモンカフェも地下にあるので電波の届かない「異空間」だ)。ゲストは「あまけん」の若狭健作さんと綱本武雄さん。

「あまけん」が発行している「南部再生」というフリーペーパーの話を中心に、運河クルージング、イモコレ、メイド・イン・アマガサキなどのプロジェクトに関する話を聞いた。印象的だったのは以下の点。

・事業の資金は尼崎公害訴訟の保証金。その他、各種助成金を使って「メイド・イン・アマガサキ」という別冊を作っている。

・メイド・イン・アマガサキ・ショップというイベントを開催したところ、2日間で5000人の来店者があった。

・「南部再生」で取材させてもらった店や家の人から、次の取材先を紹介されることが多い。

・「南部再生」に掲載されている文章は原稿料無料で書いてもらったものばかり。有名な人も学生さんも同じく原稿料は無料。取材費も本人負担。それでも持ち込み企画や連載が後を絶たない。

・紙媒体の持つ力はインターネットのホームページとは違うように思う。紙媒体で印刷して配布してしまうと、誤字脱字にいたるまで編集者が責任を持たなければならない。WEBのように途中で更新/訂正することができない。それだけに紙媒体はWEBよりも読者に訴える力を持っているのではないか。

・冊子を発行することによってネットワークがどんどん広がっている。

・会費(年会費1000円)によって、現在では印刷費を賄えるようになっている。

「あまけん」はイベントやWEBや冊子をうまく使いこなしながら、尼崎市の南部地域に緩やかなムーブメントを作りつつある。フリーペーパーも第16号を数えるに至った。知名度も徐々に上がってきている。フリーペーパーもかなり質の高いものになっている。学ぶべき点は多い。

その上で考えておかなければならないことがある。このプロジェクトが当初から活動資金を持っていたということだ。同種のプロジェクトの多くは自費でフリーペーパーを作成、印刷、配布している。活動資金を手に入れるまでに消え去るフリーペーパーも多い。「あまけん」と同じスタートラインへたどり着く前に、実は多くの試練が待っているのだ。

活動資金が手に入るようになってからの方向性については「あまけん」が優れた手本になることだろう。問題はその手前にある。自費でのフリーペーパー発行から、継続的な活動資金の確保まで。巷にあふれるフリーペーパーと「あまけん」の活動をつなぐ部分。今後の「けんちくの手帖」は、その隙間部分に着目した議論を展開したいと思う。

山崎

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