2004年12月10日金曜日

「研究者と設計者」

午前中は、兵庫県立淡路景観園芸学校の学生から修士論文の相談を受ける。子どもの遊び場や利用者が参加する公園づくりについて研究したいと言う。仙田満さんの公園や世田谷のプレイパーク、そしてユニセフパークプロジェクトなどを紹介しながら、論文の構成について議論した。

午後7時から兵庫県家島町の振興計画に関するブレーン会議に出席する。この計画には2年前から関わっている。通常の振興計画とは違って、計画の内容について住民が話し合い、その結果を計画本文に盛り込んでいる。家島町役場が考える「町の方向性」と、住民が考える「自分たちがやりたいこと」を重ね合わせた振興計画。この計画書の完成は、新しい振興計画のカタチを示すことになるだろう。

ブレーンの一人である清水郁郎さんはラオスでの調査を終えて帰国したばかりだった。来年3月には再度ラオスへ調査に行くという。話を聞くうちに研究者という生き方が羨ましく思えた。もちろん僕が想像するほど楽しいことばかりではないはずだが、自分の一生をどこでどのように過ごすかという点において研究者は幸せだと感じたのである。

午後10時から病院の庭の設計に関する打ち合わせに出席する。このプロジェクトには、異なる3つの設計事務所の設計者が関わっている。ランドスケープの設計プロセスとしては特殊な進め方である。3つの事務所が協働しているというよりは、たまたま3つの事務所に所属する個人が集まって新しいユニットを作った、というほうが正確な表現だろう。普段は別の事務所で仕事をしている3人だけに、集まって議論すると新鮮なアイデアが生まれる。朝まで続いたこの打ち合わせは非常に刺激的なものだった。こういうコラボレーションこそ、僕たちの世代が選び得る仕事のスタイルだということを実感した。

研究者にもこの種のコラボレーションはあるだろう。学際領域の研究には多く見られる研究スタイルである。設計者か研究者か。どちらも魅力的な生き方である。

山崎

0 件のコメント: